有明海の海産物・レシピ

スミノエガキ(イタボガキ科)

スミノエガキ(イタボガキ科)
学名
Crassostrea ariakensis
地方名(方言)
ヒラガキ、セッカ
主な漁場
河川澪筋
漁期
10〜3月
主な漁法
かち採り

有明海の準特産である。湾奥部に流入する河川(塩田川、六角川、早津江川等)の澪筋で、ほとんど干出しないところ(干潮線付近)に多い。有明海の同じカキの仲間にマガキ(シカメガキ)があるが、これは、もっと浅いところにすんでいる。

マガキと比較して、貝殻の成長線が隆起せず、殻高が低く、殻頂部(蝶番)が広いのが一般的な特徴で、一見すると、殻の表面はなだらか(フラット)で形は卵円形に近い感じをうける。しかし、殻の形は生息条件によってかなり変わる。密生すると、殻が垂直に立って長く延びるので、漁業者はこれを倒して広げ、円くなるようにする。

産卵期は5〜9月上旬、盛期は6月下旬〜7月中旬で、マガキのそれとほぼ重なる。マガキよりも成長はよく、大型化する。

このため、昭和初期には盛んに養殖され、当時は7月頃に竹 (チョッポイ)や葦を採苗器にして稚貝を付着させ、10〜11月に採苗器から落として養殖場にまいた。取りあげは翌年の10月頃から始まり3月頃まで続いた。しかし、現在では漁業者のノリ養殖への転業もあってスミノエガキの養殖は衰退してしまった。

マガキとは交配しないし、最近の遺伝子の研究で、マガキとは別種であることがわかっている。一方、八代海不知火地方でオニガキと呼ばれている大型のカキとは遺伝的に同じことが最近確認された。なお、従来、有明海のシカメガキはマガキと同じ種類とされてきたが、遺伝的には別種とも言われ、いまひとつはっきりしないところがある。

(佐賀県水産課「佐賀のさかな図鑑」より)

前海もん有明海は干満の差が約6mあり、干潮時には沖合5〜7kmまで広大な干潟が広がります。 そこを棲みかとする生き物たちは珍しい姿・形をしていて「前海(まえうみ)もん」とも呼ばれています。