有明海の海産物・レシピ
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アゲマキガイ(ナタマメガイ科)
- 学名
- Sinonovacula constricta
- 英名
- Jack knife clam
- 地方名(方言)
- アゲマキ、チンタイガイ、ヘイタイガイ
- 主な漁場
- 河口の岸近くや護岸堤防周辺の砂泥、軟泥干潟域(最干潮線以浅)
- 漁期
- 5〜9月
- 主な漁法
- 手堀り、釣り(鉤型金具)
有明海のほか、八代海にも分布し、泥や砂泥質の干潟の地盤の高い所に多い。
アゲマキは揚巻と書くが、聖徳太子の耳の横でB字に束ねられた髪型、あるいは花魁(オイラン)の髪型、カブトの結び目をいずれも揚巻といい、これらの形に似ているところからきている。学名は中国のカミソリの意、英名はジャックナイフといい、和名の典雅な由来に比べていささか素気ない。
干潟の中でも最も岸より(地盤の最も高い所)に、深さが自分の殻の長さの7〜8倍もある穴を掘って、その中で生活しているが、マテガイに似た前後に細長い体形は、穴を掘ったり、その中を移動したりするのに適している。潮が引いているときは、この穴の下の方にいるが、満ちてくると、干潟表面近くに上がって海水を吸い込み、その中の餌をこしとって食べている。海水に浸かっている(冠水)時間が長いほど、餌を食べる時間も長くなるので、当然、成長もよくなる。アゲマキ養殖は、この性質を利用し、春先に岸よりにいる稚貝をとって、冠水時間が長い沖合に蒔きつけ、成長を促しているのである。
産卵期は10月〜11月上旬、盛期は10月中旬頃である。ふ化後海中に漂う期間は貝類の中では短い6日間ほどで、殻長0.22mm前後で、底生生活を始める。浮遊期には普通の二枚貝のような丸い形をしているが、干潟に潜り始めると、急速に細長くなる。
独特の風味があり、バター焼き、塩焼き、煮物、吸い物などにしておいしく、まさに有明海の味がする。