有明海の海産物・レシピ

シオマネキ(スナガニ科)

シオマネキ(スナガニ科)
学名
Uca arcuata
英名
Fiddler crab
地方名(方言)
マガニ、マガネ、ガンツケガニ
主な漁場
河口域の泥質の干潟
漁期
5〜9月
主な漁法
素手(かち採り)、釣り

有明海のほかでは、紀伊半島、四国の一部、瀬戸内海、宮崎大淀川、沖縄などで生息が確認されている。

有明海では河口域の泥質の干潟に多く、大潮でないと潮が来ないような地盤の高いところに巣穴を掘ってすんでいる。普通は同じ穴に住んでおり、巣穴周辺を防衛しているが、時として巣穴を捨てて放浪する。ボヘミアン(放浪者)になっても潮が来ると巣穴に入るが、これは自分の住居に戻るわけではなく、適当な空いた巣穴に姿を隠すのである。

オスは、片方のはさみ脚が巨大化しており、これを動かす格好が潮を招いているように見えるところが、この名前の由来なのであろう。6〜7月の繁殖期に、はさみを上下に振る行動は、メスを誘う求愛ダンス(ディスプレイ)であり、巣穴にメスを誘い込んで交尾する。

オスの大きなはさみは左右のどちらに付いているかと言うと、実はほぼ半々の割合である。これは後天的に決まる。すなわち、オスの稚ガニのはさみ脚は最初は同じ大きさであるが、甲幅が3〜6mmの稚ガニの時に左右どちらかを自ら脱落させる。脱落後に再生してくる方が小はさみ、脱落しなかった方は発育を続け巨大はさみになる。また、これが何かの事情で脱落しても、やはり同じ方が巨大化し、小はさみが代わって大きくなることはない。

有明海沿岸の漁家や農家では、古くから「がん漬け」(「がねつけ」とも呼ぶ)を作って日常のおかずにしていたが、これが塩辛の一種であることはよく知られていること。ふんどし(腹)をとり除き、すり鉢の中ですりこぎで丸ごと叩いてすり潰し、塩、唐辛子で味を付け、1週間から数週間ねかすと出来上がる。

(佐賀県水産課「佐賀のさかな図鑑」より)

前海もん有明海は干満の差が約6mあり、干潮時には沖合5〜7kmまで広大な干潟が広がります。 そこを棲みかとする生き物たちは珍しい姿・形をしていて「前海(まえうみ)もん」とも呼ばれています。