有明海の海産物・レシピ
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ワラスボ(ハゼ科)
- 学名
- Taeniodes rubicundus
- 地方名(方言)
- スボ、ジンキチ
- 主な漁場
- 河口域を主とする沿岸域一円
- 漁期
- 5〜10月
- 主な漁法
- あんこう網、がた羽瀬、手押し網、すぼがき等
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ムツゴロウと並ぶ有明海の珍魚。ただ、ムツゴロウと違って内臓や血管が透けて見えるような紫色のぬるぬるとして気味悪いうなぎ状の体と、歯がむき出しになった醜悪な面構えはあくまでもグロテスクである。それにしても、映画「エイリアン」の怪物はワラスボをヒントにしたに違いないと思えるほどそっくりである。しかし、左右の腹鰭が合わさって吸盤状になっていることからムツゴロウやハゼクチ等と同じようにれっきとしたハゼの仲間である。朝鮮半島、中国にも分布するが、日本では有明海にしかいない。
干潟やその周辺の柔らかい泥に4〜9個の入り口がある巣穴を掘ってすんでおり、目は著しく退化し皮膚の下に隠れてしまっている。鱗もほとんどなく、痕跡が残っているだけ。潮が満ちると巣穴から出て、小魚、エビ、カニ、貝等何でも食べる悪食で、特に、アゲマキにとっては天敵とも言える魚である。産卵期は6〜9月で、ムツゴロウ等と同じように巣穴の中に卵を産みつけ、ふ化するまでオスが卵の世話をする。
ワラスボとりといえばスボカキである。潟スキーにのり先端が鉤になった1.3mほどのナギナタのような道具で泥の中をひっかき回してとるのだが、ムツカケとともに夏の有明海の風物詩である。ただ、量的には、あんこう網等の網漁が圧倒的に多く、南風(はやん風)が強い時はあんこう網に大量に入る。
普通、内臓を取って丸ごと干物にし、食べ易い大きさに切って揚げたり、あぶったりして食べるが、ビールのつまみに最高である。その他、干物を粉状にしたり(もくさい)、煮つけで食べたりする。また、めったにお目にかかれないが、刺身もおいしい。