有明海の海産物・レシピ

タイラギ(ハボウキガイ科)

タイラギ(ハボウキガイ科)
学名
Atrina pectinata
英名
Pen shell/Fan shell
地方名(方言)
チャーラギ、タチガイ、タイラギ
主な漁場
水深5〜15mの砂泥域の海域
漁期
12〜3月
主な漁法
ヘルメット式潜水器

ガザミと並ぶ有明海の最重要種。冬の朝、太良町の漁港から船が一斉に海に出る光景は勇壮そのもので、有明海の冬の風物詩ともなっていたが、近年は資源が激減している。

タイラギは大型の二枚貝でとがった方を下にして海底に立っており、東北地方以南、東南アジアからインド洋にかけての温・熱帯域に広く分布している。日本では東京湾等ではほとんど見られなくなり、今では有明海と瀬戸内海が主な漁場となっている。7〜8月に産卵し、翌年の漁期には15cm程度に成長し漁獲サイズとなる。寿命は6〜7年で最大30cmを超える。

有明海のタイラギには、殻の表面に刺(鱗片状突起列)があるものと無いものがあり、前者はケンガイ、後者はズベガイと呼ばれている。この他にも違った刺をもっているものがあるが、どうやら海底の底質(砂分が多い、少ない等)によって後天的に変わってくると思われていたが、最近の研究では遺伝的に別種であり、ケンガイがリシケタイラギ、スベガイがタイラギという和名がついている。

ヘルメット式潜水器でとるが、潜り(潜水夫)、船頭、綱引き(貝むき)の最低3人は必要だ。昭和30年頃までは船上で手押しポンプで空気を送っていて、大変な労力が必要だったが、現在ではコンプレッサーに変わり、また、電話と呼ばれるインターホンがあるため昔に比べると大分楽になり、安全性も高くなっている。潜水夫は海底を這うようにしてタイラギを探し、手カギで引っかけスカリという袋にタイラギを入れ、ある程度たまると船上に引き上げる。

タイラギは、貝類の中でも年による漁獲量の変動が大きく、数年ごとに増減を繰り返していたが、中でもタイラギは平成11年から激減し、12年以降は、15年を除いて漁獲が行われていない。タイラギの貝柱はホタテガイのそれに比べうまみや歯ごたえもあり、刺身、塩焼き、粕漬け等何でもおいしい。ビラ(外套膜)もぽん酢で食べたり、吸い物等にするが、貝柱よりおいしいという人も多い。

(佐賀県水産課「佐賀のさかな図鑑」より)

前海もん有明海は干満の差が約6mあり、干潮時には沖合5〜7kmまで広大な干潟が広がります。 そこを棲みかとする生き物たちは珍しい姿・形をしていて「前海(まえうみ)もん」とも呼ばれています。