有明海の海産物・レシピ

ミドリシャミセンガイ(リングラ科)

ミドリシャミセンガイ(リングラ科)
学名
Lingula anatina
地方名(方言)
メカジャ(女冠者)
主な漁場
砂泥質の干潟域(主に早津江川河口)
漁期
5〜9月
主な漁法
手堀り

貝の名前も付くし、一見二枚貝の仲間に思えるが、貝とは全く異なる触手動物腕足類の一種。数億年前から生存している地球上で最も古い「生きている化石」である。

二枚貝の殻が体の左右を覆うのに対して、この殻は亀の甲羅のように背腹を覆っている。また、殻は動物の骨の主成分である燐酸カルシウムと、エビの殻の主成分であるキチン質を多く含んでいる。

本州以南に分布するとされるが、主な生息地は有明海である。形は三味線に似ており、緑色をした光沢のある二枚の殻は三味線の胴の部分で、殻から伸びた管状のものがシャミセンの棹(サオ)に相当し、この棹のことを肉茎という。

干潟では、三味線を逆さに立てたような格好で砂の中に入っており、表面すれすれに殻(前端)が口を開け、殻の下側(後端)からは肉茎が伸びて、その先端には砂粒が多数付着している。殻を刺激すると肉茎が収縮して砂の中に入ってしまう。肉茎ははずれやすく、このため、完全な形で掘り出すには特別な漁具を用いて20cm以上も掘り起こす必要がある。煮付けて、殻から身を煮汁と一緒に吸い出すようにして食べる。いたって珍味。

同じ腕足類にオオシャミセンガイがいるが、これは日本では有明海だけにしかすんでいない。水深10m程度の砂泥質の海域に生息し、ミドリシャミセンガイより一回り大きく殻の色が茶色く、光沢がないことから簡単に区別できる。食用とはしない。

(佐賀県水産課「佐賀のさかな図鑑」より)

前海もん有明海は干満の差が約6mあり、干潮時には沖合5〜7kmまで広大な干潟が広がります。 そこを棲みかとする生き物たちは珍しい姿・形をしていて「前海(まえうみ)もん」とも呼ばれています。